真岡市郊外・ビニールハウス隣接住宅における「床下から天井への縦断侵入」
現場:栃木県真岡市(荒町・亀山エリア周辺)
ご依頼主:50代・農業従事者様
【建物構造:木造2階建て(築35年)】
現場は真岡市郊外、周囲にいちごのビニールハウスが広がる地域です。ご依頼主様からは「冬場に入ってから、1階と2階の間で何かが暴れるような音が激しくなった。最近は1階の和室に獣特有の臭いが充満している」との相談をいただきました。
真岡市のような農業が盛んなエリアでは、ハクビシンはいちごなどの作物を餌にし、移動距離を最小限にするために近隣の頑丈な住宅をねぐらに選ぶ傾向があります。まずは外装の徹底調査から開始しました。

侵入経路の特定:床下換気口の損壊
住宅の外周を一周したところ、基礎部分にある「床下換気口」に異変を見つけました。換気口の格子(樹脂製)が、経年劣化による硬化と、外部からの強い衝撃によって食い破られるように破壊されていました。
ハクビシンは前足の力が非常に強く、僅かな亀裂があればそこを広げて侵入します。換気口の周囲には、土汚れがついた5本指の足跡が確認できました。これは紛れもなくハクビシンの「ラットサイン(獣跡)」です。ここから床下へ入り込み、断熱材を伝って壁の内部(通気層)を垂直に登り、天井裏へと到達したルートが浮かび上がりました。
天井裏・床下の被害状況調査
点検口から天井裏へ潜入すると、断熱材(グラスウール)がズタズタに引き裂かれていました。さらに、ハクビシンの習性である「溜め糞(ためふん)」を確認。ハクビシンは同じ場所に排泄を繰り返すため、断熱材の上に約60cm四方の糞尿が堆積していました。
尿は断熱材を通り越し、和室の天井板(目透かし天井)まで浸透しており、腐食による茶色い染みを作っていました。これが異臭の主原因です。床下を確認すると、そこにも休息場所として使われていた形跡があり、真岡市の冬の寒さをしのぐために、ハクビシンが建物全体を「自分のテリトリー」として使い倒している惨状でした。
施工工程(1):追い出しと忌避
ハクビシンが建物内に潜伏している状態で封鎖を行うと、中で死んでしまい、死臭やウジの発生といった深刻な二次被害を招きます。そのため、まずは「燻煙剤(くんえんざい)」を床下と天井裏に同時に仕掛け、強制的に追い出しを図ります。
ハクビシンが嫌うトウガラシ成分や木酢液の匂いを充満させ、あらかじめ特定しておいた侵入口から逃げ出すのを暗視カメラでモニタリング。真岡市のこの時期は外気が非常に冷たいため、追い出された個体が戻ろうとする執念が強いのですが、強力なゲル状の「忌避剤」を併用することで、再進入の意欲を物理的・化学的に削ぎ落としました。
施工工程(2):汚染物の撤去とバイオ消臭
個体の離脱を確認後、防護服に身を包み、糞尿で汚れた断熱材をすべて撤去しました。撤去した断熱材は、匂いが漏れないよう専用の厚手ビニール袋に密閉して搬出します。
天井板に染み込んだ尿の匂いを除去するため、高濃度の消臭・殺菌剤を動力噴霧器で散布しました。ハクビシンの尿に含まれるアンモニア成分は強烈ですが、これに加えて、寄生虫である「イエダニ」の殺虫処理も同時に行いました。仕上げに、空間に残った獣臭を分子レベルで分解する「オゾン発生器」を24時間稼働させ、居室内に漏れ出していた異臭をリセットしました。
施工工程(3):SUS304ステンレスによる完全封鎖
最後に、二度と入らせないための封鎖工事を行います。
破壊された床下換気口、および軒天(のきてん)の僅かな隙間に、錆に強く耐久性が極めて高い「SUS304規格のステンレス製パンチングメタル」を設置しました。
ハクビシンは非常に力が強いため、単に網を貼るだけでは不十分です。ステンレスビスを多用して多点固定を行い、さらに板の縁には、齧り防止成分(カプサイシン等)が含まれた「防獣用シーリング材」を充填しました。これで、ハクビシンの力では開けることができない状態になります。床下から天井に至るすべての「隙間」をプロの技術で遮断し、防除を完了しました。


